高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの開幕まで3 日。『ここだけの特ダネ』としてお届けしているプレビューの第12弾は「関東」や「実績」から離れて、今大会ならではのトピックスを5本、お届けします。なお、写真の一部は当該チームからの提供です。
(2026全国大会写真=福地和男、大久保克哉/取材&文=大久保克哉)
TOPIC①
天災に負けず!!
※写真は2025年の全国1回戦
あい・びー・しー
IBCレイカーズ
[熊本県/2年連続2回目]
「全国大会? もちろん行きます!」
大会前最後の日曜日となった8月2日の夜。熊本代表・IBCレイカーズの横田暁監督(=㊦写真)は、電話口の向こうで話してくれた。
マグニチュード7.1の大地震が九州・熊本地方で起こったのは7月28日。以降も余震が続いており、各地の甚大な被害や酷暑下での困難な避難生活などが連日、報じられている。
「何とかチームの全員、家族も含めて無事です。避難生活者もいません。ただ、余震もあったり、子どもたちはメンタル的なダメージも…」(横田監督)

野球どころではなかった状況から、ようやくチームで集まれたのが8月1日の土曜日だった。しかし、不安や落ち込みの色も濃く、まともに動けなかったという。
「なので今日(日曜)はもう、あえてガッツリやりました。野球に打ち込むことで、その間は他のことを忘れられる面もあったかもしれません。私自身も今回、野球ができることのありがたみを感じました」(同監督)
昨年、全国初出場したIBCは、1回戦でサヨナラ負け。だが、元王者の東16丁目フリッパース(北海道南※今夏も出場)に初回に4失を奪われながら、じわりと追い上げて5回表に追いつく粘り腰をみせた。また、個々の能力もパフォーマンスも大いに光っていた。

そのなかで二番・左翼だった永野路ノ介(=㊤写真)と、八番・一塁だった横田碧(=㊦写真)の5年生コンビが、今年のチームの中心。6年生はこの2人を含めて9人いるが、新チームは秋の新人戦でコールド負けするなど、順風満帆ではなかった。
「転機は12月末の合宿でした。保護者も含めた全員の話し合いで『全国1勝したい』という目標が決まりました。そこからは各自も相当に努力したと思います」(横田監督)

全国予選は最終回に大逆転などのミラクルも演じて、まずは目標とする舞台への出場権を獲得した。指揮官の胸の内には、より高い目標があり、それは天災に遭っても揺らいでいないという。
「今年はザ・学童野球という子どもたち。野球の神様をひきつけるチームだと思っています」
TOPIC②
開催地のチャンプ!!

※写真は2025年の全国1回戦
まつやま・のーす
松山NORTHベースボールクラブ
[愛媛県/2年連続3回目]
開催地からは今年も4チームが出場する。中でも注目は、2年連続で愛媛県予選を制した松山NORTHベースボールクラブだ。
「今年は地元開催なのでもちろん、全国を狙っていました」と語る阿部勇太監督は松山北高出身。2019年に誕生したチームの創設者でもあり、全国初出場時の2023年は長男・輝が主将で初戦を突破している。

昨年は1回戦で、元王者の常磐軟式野球スポーツ少年団(福島)に敗北。だがやはり、地力があって、年末の「冬の神宮」ことポップアスリートカップ全国ファイナルにも初出場(=㊤写真)して1勝したほか、那須原悠翔(現中1)は四国ILジュニアでもプレーした。
「今年はそんなに大きい子はいません。上位打線はバットが振れるので、下位打線からつないでいくのがパターンであり、テーマ。全国でも一戦一戦ですね」(阿部監督)

大黒柱は昨年から不動のトップバッターで、今年は投手と捕手を兼務する長野晃也(=㊤写真)だ。野津手旭都もレギュラー2年目で、この2人を含めて6年生は9人。また、監督の次男・阿部暖(=㊦写真)も昨年は二番・三塁でプレー、5年生となった今年は三番・遊撃と、より重責を担っている。

TOPIC③
選手宣誓やります!!

ながはま
長浜少年野球団
[大分県/初出場]
8月7日、松山市の坊ちゃんスタジアムでの開会式で、選手宣誓をするのは大分代表、長浜少年野球団の吉岡聖真主将(=㊦写真)だ。

九州勢で唯一の全国初出場となるチームは、大分市で活動58年目。地元の市立長浜小は6年男子が25人程度と少子化が著しいが、そのうち10人が長浜のグリーンのユニフォームを着ている。
主将の父で、就任3年目の吉岡貴政監督は、新しい歴史を築けた理由をこう語っている。
「子どもも保護者も指導者も、みんなが同じ方向を向いて野球をやれていること。また地元の結束も強くて、(県)決勝は自治会長からの呼びかけもあり、たくさんの応援をいただいて勝つことができました。それも準々決勝に続く逆転勝ち。バランスが良くて粘り強いチームです」

決勝では6回裏二死から六番・倉永旺大が同点二塁打㊤。そして延長7回裏、一番・篠原ガリヨン莉之がサヨナラ打㊦

TOPIC④
5チームの想い袖に!!

なんえつ
南越野球部
[福井県/初出場]
同じく注目したい初出場組は、福井代表の南越野球部だ。同県には越前ニューヒーローズという全国区の強豪もいるが、同チームは日本海に面した「越前町」で活動(丹生支部)。一方の南越は、内陸の「越前市」にある5チームが合併し、2023年に誕生した(越前支部)。

「どの地区も著しい少子化で。旧今立郡で県大会出場を競い合ってきた、池田グリーンボーイズ、岡本ハッピーズ、花筐レッドサンダース、服間フレンズ、南中山モンキーズが段階的に合併しました。今のユニフォームの袖口(=㊤写真)には、歴史をつないだ5チームの色が入っています」
熱く語る山川敏生監督は岡本ハッピーズの出身で、指導歴は18年。合併初年度の2023年の全国予選は県決勝で敗れていただけに、今回の初出場でチームの喜びも大爆発したという。

「下級生時代に、県大会で手痛いミスをしてしまった子たちが、今年は主力として頼もしい働きをしてくれました」(同監督)
その代表格が一番・三塁の梅田怜亜(=㊤写真)と、監督ジュニアでもある三番・遊撃の山川倫正(=㊦写真)だ。県大会の序盤戦では、序盤のビハインドから逆転勝ちを繰り返し、決勝は9対1の大勝。

「元の5チームの地元の小学校を合わせても、生徒数は500人いかないくらい。でも、私の教え子の21歳と19歳がコーチで戻ってきてくれてます。そういう絆の循環も堅固な一体感を生んでいる。全国ではまず1勝、そこからは勢いでやっていこうと思います」(山川監督)
TOPIC⑤
想いと想いが交錯!!

おおすみ
大住クラブ
[京都府/19年ぶり3回目]
「全国大会」に特別な想いを持っているのは、京都から19年ぶり3回目の出場となる、大住クラブの29番、坂田晋哉ヘッドコーチだ。
同コーチは、田辺アルファ―で1988年(第8回大会)に全国出場。そして西城陽高で1994年夏の甲子園に出場、さらに佛教大でも大学選手権に出場している。
「小・高・大で京都から全国大会に出させていただいたのですが、全部1回戦負け。学童では秋田代表(旭川野球スポーツ少年団)にサヨナラ負け。なので全国で1回勝ちたいという想いで、『全国で1個勝ったらやめる』と言うてきてたんです(笑)」

右から高崎監督、坂田コーチ、今仲伸行コーチ
坂田コーチは、大住での指導キャリアは11年で、今では一番の古株。学年単位の活動をベースとするなかで主にトップチームを担い、今どきの子にしっかりと向き合っている。
「試合中にガーッと言うても、今の子は萎縮するだけ。アカンかったところはなぜアカンのかを教えて『じゃあ、次どうする?』と」(坂田コーチ)

6年生は11人。相手を圧倒するまでの強さはないものの、高崎翔真主将(=㊤写真)、小宮山凛多朗、今仲佑月(=㊦写真)ら、どの投手も整っているフォームが際立つ。また、ひとつのミスを次のプレーに生かす対応力や声掛けに長けている。

「誰に言うてるかわからん『さぁ来い!』みたいな声はいいから、それぞれ考えて、周りを見て気付いたことをしゃべりなさい、と言うてます」
こう語る高崎勝治監督は主将の父。首脳陣から「みんながんばっている中でも“一番の頑張り屋”」と評される二塁手の山田正翔は「エラーしても、みんなでカバーするのはいつものこと。全国大会ではピンチのときに、チームを救う守備をしたいです」と意気込みを語った。
フィールドでプレーできるのは9人だが、残る2人がチームのために常に懸命なのも印象的。7月の全国区の強豪チームとの全国大会壮行試合では、裏方役の1人、三好碧波(=㊦写真)が第2試合でヒットを2本を続けた際には、ベンチが大いに盛り上がった。
「いつもそんなに打てないので、2回連続のヒットでメチャうれしいです。全国ではたぶん、出番はないと思うんですけど、チームの一人として声を出したり、がんばりたいです」(三好)
19年前の先輩たちが全国出場していたことを、現6年生たちが知ったのは府大会(各地区代表8チームによる)出場を決めたときだったという。初出場の2006年は初戦を突破、翌07年は3回戦まで進出。そして3回目の今年の目標は「ベスト8」だ。
「子どもらが話し合って、そういう目標を立てたので尊重しています。ただ私とすればとにかく、一戦必勝です」
ヘッドコーチも心の内は同じだろう。
